
ぴよ君は歌うことが大好きですよね。
もし、自分の歌った歌が、とっても音程を悪く変えられていたり、自分と全く違う声に変えられていたらどうですか?

とっても悲しいし、とっても恥ずかしい。。。

そうですよね。
ですから、そういった思いをしなくて済むように、実演家には、ココロを守る権利である実演家人格権の一つとして『同一性保持権』があります。
実演家人格権についてはこちらをご参照ください
1.『同一性保持権』とは?
同一性保持権とは…
実演家が、自分が行った実演について、勝手に変更や切除をしないように求めることができる権利のこと。(参考:著作権法 第90条の3)
例えば…
・衣装を辱めるような洋服に合成されたり(現在の技術があれば簡単にできそう…)
・セリフの内容を変えて公序良俗に反するようなことを言っているように見せかけられたり(これもAIがやってくれそう…)
・ディスる目的で声を全然違う人の声に変えられたり(そんなアプリありそう…)
など
👉こういった勝手な改変をするな!と求めることができるのが同一性保持権です。事前にNOということもできますし、変更されてしまったあとに、変更をやめるよう主張することもできます。
同一性保持権の注意事項
同一性保持権の注意事項⚠️
実演家が変更や改変をNO!と言えるのは、自分の名誉や声望が傷つけられるような改変などの場合に限られる
したがって、以下の場合は、NO!と言うことはできません。
👉「自分」以外の改変
例)相手役(=自分ではない人)の実演が変更されている場合などは、いくらおかしなシーンに変わっていたとしても、「同一性保持権」を主張することはできません。自分が主張できるのは、あくまでも「自分の」名誉や声望が傷つけられた場合に限るからです。(ただし、相手役本人は自分の同一性保持権を主張可)。
👉名誉や声望が傷ついていない改変
例)家庭内で個人的に行う改変に対して「同一性保持権」は主張できません。家庭内にとどまる限り、社会的な評価を下げることにはならないためです。
2.「同一性保持権」の例外
次の場合には、変更や切除が認められています。(1)(2)の両方に当てはまる必要はなくどちらか一方が当てはまれば、変更が認められます。
(1)やむを得ないと認められる場合
例)再生機器の性能によって、画像や音声に差異が出てしまう、などの場合。(ただし、今の再生機器は高性能なものが多いので、こういった場面は、あまりないかもしれません)
(2)公正な慣行に反しないと認められる場合
例)放送時間に合わせて映画やドラマを再編集したり、バラエティ番組のゲスト紹介のために出演作品の一部を切り取る場合。(ただし、別権利の主張や、別権利者[著作権者など]の主張は可能な場合も有)
3.まとめ
・実演家は、自分の実演について、勝手に変更や切除をしないように求めることができる(ただし、自分の名誉や声望が傷つけられる場合に限られる):【同一性保持権】
・やむを得ないと認められる場合、公正な慣行に反しないと認められる場合には、変更や切除が可。
4.参考文献&HP
参考文献
・加戸守行『著作権法逐条講義 七訂新版』公益社団法人著作権情報センター2021
参考HP