知的財産って何?ー知的財産権の全体像を分かりやすく解説

Basic Knowledge

「知的財産」ってよく聞くけど、実はよく分からないんだよね

確かに、分かるような分からないような…あいまいな感じがしますよね。

でも、知的財産はとても身近なものです。私たちの周りにもたくさんあります。

この記事では、そんな知的財産の概要をお伝えします。

1.知的財産とは?

知的財産とは…

人が創作活動の結果生み出したアイデアや創作物のうち、財産的価値を持つもの事業活動で使用する商品やサービスを表示するもの

例えば、今や生活必需品となったスマホは知的財産がたくさん詰まっています。

例)スマホ

①カメラ、タッチパネルなどの高性能な機能:発明

②スマホケースの使いやすい形状:考案

③機種のメーカーや通信会社を見分けるマーク:商標

④本体のかっこいい!おしゃれ!なデザイン:意匠

⑤ソフトウェア、保存した画像、音楽、動画:著作物

このような知的財産を保護するのが、「知的財産権」です。ひとつひとつみてみましょう。

①特許権・発明を保護
・発明とは:高度な新しいアイデアや技術など
・機械的な発明だけでなく、医薬品や食品の製造など多岐に渡る
②実用新案権・いわゆる小発明といわれるもの保護
・小発明とは:発明ほど高度ではないものの、新しく創作された形状や構造、組み合わせなど
例)ペットボトルのキャップ、ふとんたたき、押しつぶせるティッシュ箱など
③商標権・商標を保護
・商標とは:商品を製造した人、提供した人は誰かを識別するマーク。そのマークがあることで一定の信用が得られることにより、ブランド力の保護にもなる
・音、色、立体物も対象となる場合も
④意匠権・工業上の利用が可能なデザインを保護
例)スマホのデザイン、おもちゃ、シャープペンシルの形状など
⑤著作権・文芸、学術、美術、音楽に属するものを保護
・著作権は著作権法に定められており、本サイトのテーマ、実演家の権利もココに含まれる

2.知的財産の特徴って?

知的財産の特徴とは…

・形がない

・複数コピーがつくれる

何度利用されても無くならない

同時に複数人が使える など

形ある「物」の場合、誰かがそれを使っていれば、ほかの人は使うことができません(例えば、誰かがスマホという物体を使っていたら、別の人が同時に同じスマホを使うことはできない)。

一方、形がない知的財産は、無限に使えます。誰かがある映画を見ていても、そのコピーで同じ映画をどこでも、何人でも見ることができます。

3.なぜ知的財産を保護する必要があるの?

「知的財産」は、たくさんコピーができて、無くならなくて、しかも同時にたくさんの人が使えるなら、難しい権利とか無しにして、自由な方がみんなHAPPYじゃない?

確かにアイデアや技術をみんなで使うことは重要なことです。

ですが、保護しなかったらどうなるか想像してみると、なぜ必要なのかが分かります。

新しいアイデアや技術などを創ろうとするとき、その創作はとても大変です。時間もかかるし、お金もかかります。一方で、そのアイデアや技術が一切の負担なく自由に使えるとしたら、多くの人は自分で創り出す努力や労力はかけずに、ほかの人が作ったものをヒョイと使うでしょう。その方が楽だし、効率的だし当然です。

そして、世の中全員がだれかの創作待ちになってしまえば、新しいものは生まれなくなってしまいます。一部の献身的な人は見返りを求めず、社会の発展に貢献できればそれでよいのだ!と創作を続けることができるかもしれません。しかし、どんなに努力や労力をかけても何の見返りもなく、一方、その創作物をヒョヒョイと使って利益を上げている人を見れば、新しい創作へのモチベーションを持ち続けるのはかなり難しいのではないでしょうか。

そうなってしまっては、技術も文化も発展しない社会になってしまうのは想像に難くありません。

確かに苦労して作ったものをタダで簡単に使われて、しかもお金もうけをされたら、自分も作る側じゃなくて、誰か創ってくれるのを待つ側になっちゃうな~

そうです。

だから、世の中が発展を続けるためにも、頑張って創った人には、頑張っただけ報われるように、保護する制度が必要なんです。

4.知的財産はどうやって保護されるの?

「保護」っていうけど、実際はどういうふうに保護されるの?

創作されたアイデアや技術などに権利を与えることで、創った人がちゃんと利益を得られるようにしています

知的財産の保護とは…

知的財産に「権利」を与えることで、その権利を与えられた人が、独占的に使えるようにしている

権利を持つ人が独占的に使えるので、例えば以下のように活用できます。

👉自分だけがその技術を使って製品を開発し、利益を上げる

👉その技術を使いたい人に対し、使わせてあげる代わりに使用料を払ってもらって利益を上げる

また、その技術を勝手に使われてしまったら、次のように対処することもできます。

差止請求無断のコピーや利用をやめさせる
損害賠償請求勝手に使われて発生した損害を請求できる
不当利得返還請求勝手に使った人が利益を上げていたらその利益の返還を請求できる
信用回復措置の請求勝手に使用され、信用を損なうようなことがあればその信用を回復するための対応を請求できる

さらに、勝手に使った人には、罰金刑や懲役刑が課されることも!

5.まとめ

 ・知的財産はお金を生み出すアイデアや創作物のこと💡

 ・知的財産権は技術や文化の発展のために必要な制度であり、権利を与えることで価値を守っている!

6.参考文献

小泉直樹『知的財産法入門』岩波新書2010

平嶋竜太、宮脇正晴、蘆立順美『入門 知的財産法 [第2版]』有斐閣2020

角田政芳、辰巳直彦『知的財産法[第9版]』有斐閣アルマ2020

ジーベック国際特許事務所『知りたいことがすぐわかる 図解 知的財産権のしくみ』日本実業出版社2021

タイトルとURLをコピーしました