言わずと知れた新海誠監督の最新作。『すずめの戸締まり』を通常シアターとIMAXレーザーで観てきました(通常→IMAXの順です)。
どっちで観ようか迷われている方の参考になればうれしいです。
※「4.感想」には、ネタバレを含んでいますので、ご注意ください。
1.そもそもIMAXレーザーとは?
専用シアターで上映される大画面・高画質・高音質な技術です。上から下まで、右から左まで壁一面広がるスクリーンは圧巻そのもの。
大きな特徴は5つです。
■驚異的なシャープネス ➡細部までめっちゃシャープでクリア!だから…大スクリーンでもこれまでにないリアリティ
■抜群の抜群の明るさ ➡レーザー光源でめっちゃ明るい!だから…鮮やかで生き生きとした映像
■深みのあるコントラスト ➡優れたコントラストで深みを表現!だから…強く映画に引き込まれる
■豊かな色彩 ➡めっちゃ豊かに色彩を表現!だから…色鮮やかな世界を表現
■12chリアルサウンド ➡独自設計された12chサラウンドシステム(前後左右12コのスピーカーから音が迫ってくる)!だから…パワフルで臨場感あふれるサウンドを体感
2.『すずめの戸締まり』でIMAXレーザーはどう違った?
感動度合いが違う!
映画に引き込まれる感じ、心の揺さぶられ方のレベルが、格段に違いました。
例えば…
■夢中になりすぎて飲食に伸ばす手が止まった回数
[通常]戸締まりシーンの都度 → [IMAX]ドリンク飲むの忘れた
■泣いた回数
[通常]1回 → [IMAX]最後の戸締まりの地に到着してからは数え切れず(涙腺崩壊)
IMAXレーザーの特徴すべてを体感できる!
1.で紹介したIMAXレーザーの特徴をすべて実感できます。
例えば…
・太陽やライトが出てくると、本当に今自分が照られているかのようにまぶしく感じます。
・自然がとても美しいです。海の波、道路の陽炎、雨、虹、月暈、植物…どれをとってもため息が出るほど美しいです。葉っぱの葉脈まで見えます。
・スピード感があるシーンではジェットコースターに乗っているかのようです。壁一面にスクリーンが広がっているので、視界がすべて映画の世界になり、新海監督作品の映像美と相まって、自分まで動いているかのようです。
・轟音が心臓やおなかの底に響きます。戸締まりシーンを中心に迫力ある音楽、効果音が多く出てきますが、音を耳で聞くだけでなく「体感」できます。
【結果】IMAXレーザーは、通常鑑賞料との差額以上の価値アリ!
IMAXレーザーは鑑賞料が、通常料金に+600円ですが、その価値は十分にあると思います。
もちろん通常シアターでみても素晴らしい作品ですが、どちらにしようかなと迷われている方は、IMAXをおススメしたいです。ほんとによかったから。
ただし、見終わったあとは心身ともに疲労困憊です(いい意味で)。その後のスケジュールにご注意を。
3.地震描写に関する注意喚起
作品は素晴らしい作品ですが、公式ホームページ、公式Twitter等において、鑑賞にあたっての注意喚起が掲載されています。
ご鑑賞前に、以下の公式サイト、トップページ上部【『すずめの戸締まり』ご鑑賞予定の皆様へ】をご確認ください。
4.作品の感想(注意:ネタバレ有)
ここから先はネタバレが含みます。ご注意ください。
声優初挑戦のお二人:鈴芽・草太はどうだった?(若干のネタバレ注意)
お二人には大拍手!最大限のブラボーを届けたいです!
鈴芽役・原菜乃華さん
映画の宣伝で出演されていた各種番組を観ていたときは、しぐさや話し方、声のトーンから、正直…女子が嫌いな女子系か!?大丈夫か!?と思っていたのですが…!?
鈴芽、すっっっごくよかったです。普通の女子高生の様子から、決意をしたあとの雰囲気まで声のオーラが全く違うように感じました。物語が進むにつれて、映像で見る鈴芽の表情がどんどん変わっていとともに声も変化。顔つきの変化と声の変化が一致している感じが、すごくリアリティがありました。覚悟を決めた後は力強さだけでなく、凛とした気高さというか、そんなオーラすら感じるような声のパワーでした。拍手!
草太役・松村北斗さん
イスすらイケメン風に変えるなんてどんな声の魔法ですか!!松村さん!
イスが人間味溢れてるなんて出来ます!?もちろん愛嬌ある動きなど視覚的なアニメーションの効果もあるのでしょうけれど、感情溢れる声だからこそ、本来「モノ」であるはずのイスがあんなに人間味溢れていたのでは、と思います。一歩違えば本当にただの「最新のイス型AIロボット」だもの。イスの姿で、鈴芽に言った「おたべ」に、あんなにもキュンとするなんて。。。
人間の姿の草太も、とっても素敵で、草太の切実な願いに何度鼻がツーンとしたことか。松村北斗恐るべし。
ストーリーの感想は?(大いにネタバレ注意!)
↓
ネ
タ
バ
レ
注
意
↓
ー----------
正直なところちょっと感想をどう表現したらよいものやら。
素晴らしかったことに間違いはないのだけれど、面白いといっていいのか(笑えるシーンもたくさんあった)、感動といっていいのか(心揺さぶられるシーンもたくさんあった)、さわやかなのか、切ないのか、共感なのか…。菜乃華さんが完成披露イベントで言っていた「何の涙か分からない涙」の意味がなんとなくわかるような気がしました。なんの気持ちか分からない気持ちであふれる物語。
要因は、根底に「震災」があるからかと思います。物語は、九州→四国→阪神→関東→東北へと進み、東北に辿り着くとき、鈴芽が震災孤児であったことが明かされます。公式HPで、地震に関する描写があるとの注意喚起がされていたので、震災が関連する話かなーとぼんやり思っていましたが、まさかヒロインがそれを背負っているとは!しかし、鈴芽は、幼少期にとてつもない経験をしながらも「光の中で育っていく。それは決まっていること」と、自分の言葉ではっきり言います。だから、震災が根底にあるとは言え、すがすがしさも感じられて、決して重たい物語ではないのですが、だからといって、いい話だったー!と、まとめるのも、なんだか違う気がしてしまうのです。
あの3月11日から12年。まだ「戸締まり」まで辿り着かない人もたくさんいるであろうことは想像に難くありません。だけど、少なくとも鈴芽は、しっかり「戸締まり」をして、次の一歩を踏み出した。それが、複雑な思いのなかでも、救いのような気がしました。なんとなく重たい心にスッと風が吹くような。
きっといろいろな想いを抱く方がいると思いますが、今このタイミングで、アニメーション映画という一種のエンタメで、震災というテーマを真正面から向き合ったという意味では、とても意味が大きい映画だと思いました。