俳優やアーティストはどんな権利を持っている?―実演家の権利総まとめ

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俳優は、想像力をいっぱいに膨らませ脚本を演じることで世の中に面白いテレビドラマを届けたり、歌手は、メロディーを工夫を凝らし歌ったりすることで素晴らしい音楽を世間に届けていますね。

実演家だね!

その通りです。

実演家の権利は様々あります。ここではその概要を紹介したいと思います。

実演家の権利は、ココロを守る権利「実演家人格権」オカネを守る権利「財産権」の大きく2つに大別できます。

1.「実演家人格権」とは?

実演家人格権は、実演家のココロを守るための権利たちです。

実演が利用されるとき、実演家がイヤな思いをしないよう、以下の権利で実演家のココロを守っています。

①氏名表示権作品に、氏名を表示する/しない/するとしたらどのように表示するか、決めることができる
👆勝手に名前を省略されたり、名前を掲載して欲しくなかったのに掲載されたり、新しい芸名があるのに古い芸名で表記されてしまったりして、悲しい想いをしなくて済むように。
②同一性保持権実演を勝手に変更されないようにすることができる
👆勝手に声を変えられたり、変な衣装に合成されたりして、イヤな想いをしなくて済むように。

①氏名表示権については、こちらもご参照ください。

②同一性保持権については、こちらもご参照ください。

2.「財産権」とは?

財産権実演家のオカネを守るための権利たちです。

実演を利用することに対し、OK・NGを言えるようにしたり、使ったならお金を払ってちょうだいと言えるようにしたりして、実演家がきちんと利益を確保できるようにしています。

録音・録画権実演が、録音または録画されることについてOK・NGが言える
放送・有線放送権実演が、放送または有線放送されることについてOK・NGが言える
送信可能化権実演が、インターネット上にアップロードされることについてOK・NGが言える
譲渡権実演が、録音・録画されたCD、DVD、Blu-rayなどが世間一般に提供されることについてOK・NGが言える
商業用レコード貸与権市販のCDや配信音源がレンタルされることについてOK・NGが言える(発売から1年以内)
商業用レコード貸与報酬請求権発売から1年が経過した市販のCDや配信音源がレンタルされる場合に使用料を請求できる
商業用レコード二次使用料請求権市販のCDや配信音源が、テレビ番組のBGMとして流れたり、ラジオで流れたりした場合に使用料を請求できる
放送実演の有線放送による同時配信にかかる報酬請求権放送番組が地上波で放送されると同時にケーブルテレビでも放送される場合に、その対価を請求できる
リピート・ネット放送にかかる報酬請求権放送番組が製作した放送局と同じ局で再放送されたり、系列局で放送されたりした場合に、その対価を請求できる
私的録音録画補償金請求権個人的または家庭内やそれに準ずる範囲で録音・録画されることについて、OK・NGを言えない代わりに、補償金を請求できる
放送実演のIPマルチキャスト送信による同時配信にかかる補償金請求権放送番組が地上波で放送されると同時にIPマルチキャスト送信されることについて、OK・NGが言えない代わりに、補償金を請求できる
授業目的公衆送信補償金請求権インターネットで配信される授業において、実演が利用されることについてOK・NGが言えない代わりに、補償金が請求できる

3.番外編―「肖像権」・「パブリシティ権」とは?

法律で明記されているわけではありませんが、以下の権利も認められています。

肖像権自分の顔や容姿を、勝手に撮影や公表をされたりしない権利。俳優やアーティストに関わらず、誰でも持っている。
パブリシティ権俳優やアーティストなどの有名人や著名人が、その名前や顔、容姿に経済的利益を持っている場合、それらを勝手に利用されない権利。

4.まとめ

■著作権法に書かれている実演家の権利は大きく2種類

・実演家人格権(ココロを守る権利):氏名表示権と同一性保持権

・財産権(オカネを守る権利):たくさん

法律に明記されていない権利もある

・肖像権・パブリシティ権

5.参考文献&HP

参考文献

・池村聡『はじめての著作権法』日経文庫2018

・加戸守行『著作権法逐条講義 七訂新版』公益社団法人著作権情報センター2021

参考HP

公益社団法人著作権情報センター 

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