自分が歌うCDがテレビ番組で流れたら報酬はもらえる?―請求する権利がある!

Basic Knowledge

昨日テレビを見ていたら、BGMで、ぴよコリーヌの最新シングル『ぴよぴよラブリーヌ』が流れていたよ。こういう使われ方も、ぴよコリーヌにオカネが入るの?

あら、うれしい♡

はい。ぴよコリーヌにもオカネが発生しますよ。ただし、このオカネをもらうためには、とある登録が必要です。

1.自分が歌うCDがテレビ番組で流れたらオカネを請求できる権利がある!

市販されているCDや配信されている音源が、テレビ番組のBGMなどに利用された場合、実演家(アーティスト、歌手、演奏家、俳優、タレントなど)にはその使用料を請求する権利があります。

ただし、使ってよいかどうかOK・NGを言える権利ではなく、使ったならオカネをちょうだいと使用料の請求ができる、という権利です。権利があるとはいえ、「使っていいかどうか聞かれていない!無断使用だ!!」と主張できる権利ではありませんので、ご注意ください(著作権法第95条)。報酬請求権

また、テレビ番組で使用された場合、使用料の支払い義務があるのは放送局ですが、実は、この権利、実演家個人が放送局に直接請求できるわけではありません。

実演家がこのオカネをもらうには、「公益社団法人日本芸能実演家団体協議会(芸団協)」というところに登録をしなければなりません(裏を返せば個々人で請求しなくても登録さえすればもらえます)

2.オカネをもらうためには方法が決まっている―団体への登録が必須

テレビ番組では日々たくさんの音楽が使われています。その音楽には、歌手も演奏家もたくさん関わっています。

放送局がその個々人すべてをチェック・把握し、オカネの支払いをしようとしたら、それはもう……大変……!!その作業をやろうとしたら→音楽を使いたいけど、使うのも面倒になってしまい→音楽をきいてもらってこその歌手や演奏家の方にとっても音楽が聴いてもらうチャンスを失い→本末転倒。。。という事態が容易に想像ができます。

そこで、著作権法では、文化庁が指定した団体がある場合には、その団体だけがこのオカネを請求するための権利行使をできる、という仕組みにしました。

つまり、この指定された団体だけが権利行使できるので、放送局はこの団体と料金の交渉をし、ここへオカネを払えばOKという仕組みです。

実演家は、この団体へ登録をして権利行使してもらい、この団体を経由してオカネをもらう、という流れです。

現在、実演家のこの権利を行使する団体として指定されているのは、「公益社団法人日本芸能実演家団体協議会(芸団協)」です。

芸団協には、2021年時点で100,347人もの実演家が登録されています。また、テレビ番組で使われた楽曲について、2020年に支払いの対象となった楽曲は431,949曲、2021年度に徴収したこの権利の使用料は、約48億8,000万円です(出典:芸団協 2021年度年次報告)。

すでに相当数の実演家が登録されていますが、自分は大丈夫かな?と不安な方は確認をしてみてください。

3.まとめ

・自分が歌ったり演奏したりしている市販CD(または配信音源)がテレビ番組で利用された場合、その使用料を請求する権利がある!

・そのオカネをもらうためには、公益社団法人日本芸能実演家団体協議会(芸団協)に登録が必要!

4.参考文献&URL

・加戸守行『著作権法逐条講義 七訂新版』公益社団法人著作権情報センター2021

・中山信弘『著作権法[第3版]』株式会社有斐閣 2020

・公益社団法人日本芸能実演家団体協議会

公益社団法人 日本芸能実演家団体協議会(芸団協)
公益社団法人 日本芸能実演家団体協議会(&#33464...

・公益社団法人日本芸能実演家団体協議会 実演家著作隣接権センター

芸団協CPRA 実演家著作隣接権センター
芸団協CPRA(クプラ)は、文化庁長官の指定を受けた芸団協の指定団体業務、著作権等管理事業法による管理事業、一般社団法人私的録音補償金管理協会(略称=sarah)、といった指定管理団体からの委託による分配業務など、実演家の音楽・映像に係る権利処理業務を行っています。
タイトルとURLをコピーしました