出演したテレビ番組が再放送されたら報酬はもらえる?―請求する権利がある!

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昨日、ぴよコリーヌのドラマの再放送をみたよ!

ありがとう♡

ぴよコリーヌは、この再放送でオカネはもらえるの?

著作権法上は、請求できる場合と、別途請求はできない場合があるんですよ

1.再放送料を請求できる場合

出演したテレビ番組が再放送された場合、実演家(俳優、タレント、アーティストなどなど…)はその報酬を請求する権利があります。

再放送することに対して、OKやNGを言うことはできませんが、再放送されたオカネをください、と言える権利です(著作権法第93条の2)。報酬請求権

 ただし、すべてのテレビ番組について、再放送のオカネちょうだい、と言えるわけではなく、以下に該当する場合に、請求が可能です。

再放送料が請求できる条件

その1:その番組の「制作著作」が放送局である場合

その2:いわゆる買取など、再放送料が発生しない特別な契約がないこと

その1は、誰がその番組を作ったかの確認です。

その番組を作った人が、「放送局」であれば、再放送料の請求が可能です。それは、放送局が作った番組であれば、出演する時に「録音・録画権」を許諾したとみなされないので、再放送料を請求する権利も生きたままになっているからです。一方、録音・録画権を許諾した場合は各種権利が適用されなくなるので、再放送料も請求できない状態になります。

そのため、誰が制作した番組確認するか確認する必要があります。

どこで確認するかというと、番組クレジットに「制作著作」という欄がありますので、そこをチェックします。

ここが放送局になっていれば、この番組を作ったのは放送局です。

【例】TBS『日曜劇場マイファミリー』ホームページより引用

その2は、特別な出演契約がないかの確認です。

いくら著作権法上で、オカネを請求ができる権利を持っていたとしても、契約で再放送料は改めて発生しない契約になっていたら、請求することはできません。

昨今では、いわゆる「買取」といわれる契約がよく見られるようです。「買取」とは最初の出演料の支払いの際にまとめてその後の利用(再放送やDVD化、インターネット配信等)すべてに対するオカネを支払って、その後はどんな利用が発生しても追加支払い無し、つまり、権利がすべて買い取られている状態のことです。

こういった契約がされていると、条件その1をクリアしていたとしても、再放送料を改めて請求することはできません(最初にまとめて支払われているので)。

他にも、出演料に再放送○回までの報酬は含む、など契約もあるようですので、請求する前にご確認ください。

また、再放送料を請求する権利は、請求しないと時効を迎えて請求ができなくなってしまうこともあるので注意が必要です(再放送の都度、請求しなければならないということではありませんので、ご安心ください)。

たとえば、事務所を移籍して支払先が分からなくなってしまった、連絡がつかなくなってしまったなどのように、たくさんの出演者がいる放送番組においては、多かれ少なかれ払いたくても払い先が分からなくなってしまう出演者の方がいます。

そうすると支払い側に悪意はなくとも払えない状態、払いたくても払えない状態が続いてしまうことがあります。

民法上、権利行使をできることが知ってから5年、権利行使をできると時から10年、いずれか早い方の経過によって請求する権利が消滅してしまうので、ご自身の出演作品が再放送されているけど、オカネ払われていない??と思う場合は、ぜひ早めに確認をしてください。

2.再放送料が請求できない場合

再放送料がもらえない場合は、単純に1.もらえる場合の逆です。

再放送料が請求できない条件

その1:放送局以外が制作している場合

その2:いわゆる買取など、再放送料が発生しない契約がある場合

その1については、1.と同様に誰が作っている番組かチェックをしてください。

「制作著作」の名義が放送局以外、例えば制作会社などが書かれている場合は、請求することができません。放送局が制作する場合と違って、制作会社が制作する場合は、番組制作時に録音・録画権を許諾しているとみなされるので、そのほかの権利が働かない状態となります。

(話題は逸れますが、出演を承諾すると、録音・録画権も許諾しているとみなされるので、出演時にその後の利用について確認することをおススメします。ここで主張しておかないと、後から、DVD化のオカネは?とか、再放送料は?などということはできません)

【例】フジテレビ『フリーター、家を買う』ホームページより引用

その2についても、1.同様、特別な契約の有無をチェックしてください。

重複しますが、「買取」の契約や、出演料に一定数の再放送料が含まれる場合は、改めて再放送料を請求することはできません。

(逆を言えば、制作会社が作った番組であっても、再放送料は別途支払う、だったり、その後の二次利用の報酬については別途協議、などという出演契約になっていれば、報酬を得られます!)

蛇足になりますが、「買取」契約をするとその後の追加報酬はなくなってしまうので、何が買い取られるのか、金額は妥当かぜひ吟味してください。出演者サイドとしては、なかなか主張しづらいところかと思いますが、その後の報酬に関わってきますので、なんとか…そこをなんとか…!!

3.まとめ

この番組の再放送料ってもらえるの?と思ったら…

○その番組の「制作著作」をチェック

➡「制作著作」が放送局ならOK!制作会社ならNG。。

○特別な契約がないかチェック

➡放送局が作った番組でも買取など再放送料が発生しない契約があったらNG。。

↔放送局が作った番組で、再放送料が発生しない特別な契約がなければOK!

↔制作会社が作った番組でも再放送料が発生する契約があればOK! 

再放送料をできる条件に当てはまっていたら、権利が消滅する前に請求すべし!―

4.参考文献&HP

・加戸守行『著作権法逐条講義 七訂新版』公益社団法人著作権情報センター2021

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